学会誌「EICA」

[研究発表:未来プロジェクトⅤ-チーム2 社会とインフラの融合・調和] “草食系”社会と都市インフラの融合・調和は可能か?

内容
我が国では,高度経済成長期を通して整備された大量のインフラが更新時期を迎えている。
これらの維持・管理・更新には莫大な費用を要することが容易に予測されるが,人口減少や財政状
況の悪化といった制約条件によりインフラへの投資を抑制せざるを得ない状況にある。投資余力の
低減はサービス水準を悪化させ,最終的には国民生活や社会経済環境に大きな影響を及ぼすことが
懸念される。そこで,人口減少下にある成熟期の日本において,社会とインフラを融合・調和させ
ることが必要不可欠であると考えた。
我々は,都市インフラがもたらす中長期的な便益およびコストを可視化するとともに,人口減少
社会においてインフラを適正な規模に移行させるための多様な選択肢を設けたうえで,都市機能や
インフラサービスの水準の持続可能性を考えなければならない。本報告では,都市インフラに関わ
る意思決定プロセスに対する市民・コミュニティの積極的な参加を促し,多様な利害関係者が関
与・連携できる環境づくりについて検討を行った。具体的には,公共空間における問題解決に向けたしくみ・しかけの構築,若手技術者・研究者を含む産官学民の社会におけるそれぞれの役割の再
定式化の必要性,世代間公平性等について議論した。他方で,市民参加や仕組みといった手法や場
の重要性を認識しつつも,最終的には我々が望む社会のあり方や,どのような社会に生きることを
希求するか,といったビジョンや理念を協働で創り上げるとともに,順応的にそれを調整・修正し
ながらコミュニティ構成員が共有することの大切さを改めて認識するに至った。
本報告では,これらの課題・視点を含め,社会的・経済的・環境的に現在の世代,そして未来の
世代に対して明るい将来像の提言を試みた。
15巻2・3号2010年
Page
237
題名
“草食系”社会と都市インフラの融合・調和は可能か?
Title
Dose the “Herbivorous” Society Sustain and Harmonize with Urban Infrastructures ?
著者
永長大典1),川口佳彦2),日下部武敏3),古賀和宏4),中野 篤5)
Authors
Daisuke Einaga, Yshihiko Kawaguchi, Taketoshi Kusakabe, Kazuhiro Koga and Atsushi Nakano
著者表記
Author attribution
著者勤務先名
1)大阪市環境局, 2)(株)堀場アドバンスドテクノ, 3)京都大学, 4)(株)タクマ, 5)(株)日立製作所
Office name
著者所属名
キーワード
都市インフラ,持続可能性,コミュニティ,賢明な縮退,世代間公平性
Key Words
概要
我が国では,高度経済成長期を通して整備された大量のインフラが更新時期を迎えている。 これらの維持・管理・更新には莫大な費用を要することが容易に予測されるが,人口減少や財政状 況の悪化といった制約条件によりインフラへの投資を抑制せざるを得ない状況にある。投資余力の 低減はサービス水準を悪化させ,最終的には国民生活や社会経済環境に大きな影響を及ぼすことが 懸念される。そこで,人口減少下にある成熟期の日本において,社会とインフラを融合・調和させ ることが必要不可欠であると考えた。 我々は,都市インフラがもたらす中長期的な便益およびコストを可視化するとともに,人口減少 社会においてインフラを適正な規模に移行させるための多様な選択肢を設けたうえで,都市機能や インフラサービスの水準の持続可能性を考えなければならない。本報告では,都市インフラに関わ る意思決定プロセスに対する市民・コミュニティの積極的な参加を促し,多様な利害関係者が関 与・連携できる環境づくりについて検討を行った。具体的には,公共空間における問題解決に向けたしくみ・しかけの構築,若手技術者・研究者を含む産官学民の社会におけるそれぞれの役割の再 定式化の必要性,世代間公平性等について議論した。他方で,市民参加や仕組みといった手法や場 の重要性を認識しつつも,最終的には我々が望む社会のあり方や,どのような社会に生きることを 希求するか,といったビジョンや理念を協働で創り上げるとともに,順応的にそれを調整・修正し ながらコミュニティ構成員が共有することの大切さを改めて認識するに至った。 本報告では,これらの課題・視点を含め,社会的・経済的・環境的に現在の世代,そして未来の 世代に対して明るい将来像の提言を試みた。
Abstract

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